「セツにもまた、男の子が生まれた。セツは彼の名をエノシュと呼んだ。そのころ、人々は主の名を呼ぶことを始めた。」(創世記4章26節)
最初の人アダムとエバは多くの子らを生む。聖書はその子らの中で、カインとセツに注目する。長男カインは別に生まれた弟を殺し、地をさすらい歩く者となるが、神のあわれみの印をいただき生き延びることができた。彼は町を建て、子孫が増える。カインの子孫は多方面に渡る技術力に優れ、力と富を手にする一族となった。彼らの末裔は豪語する。「今や神の守り以上の力を自分自身で手に入れた」と。優れた技術力や富を手しても、人の心の腐敗を留めることはできず、かえってそれだけに頼るならば神から離れていく結果を生む。一方のセツはカインに殺された弟の代わりに神がアダム夫婦に授けてくださった子である（カインが「私は得た」という名であるのに対し、セツは「神は授けられた」という意味の名）。セツはエノシュ(「弱い」という意)を産み、彼らの一族は祈り始める。主は祈る彼らに目を留め、神とともに歩む祝福を与えてくださった。私たちは今このとき何に頼るか問われる。あくまでも力と富を誇り、神がいなくても自分たちで守れると言うか。それとも自分の弱さや罪深さを真摯に認めて祈り、へりくだるか。祝福は後者と共にある。