聖書箇所:使徒の働き 13章4~12節
熊久保 公義 牧師
ふたりは聖霊に遣わされて、セルキアに下り、そこから船でキプロスに渡った。サラミスに着くと、ユダヤ人の諸会堂で神のことばを宣べ始めた。彼らはヨハネを助手として連れていた。島全体を巡回して、パポスまで行ったころ、にせ予言者で、名をバルイエスというユダヤ人の魔術師に出会った。この男は地方総督セルギオ・パウロのもとにいた。この総督は賢明な人であって、バルナバとサウロを招いて、神のことばを聞きたいと思っていた。ところが、魔術師エルマ(エルマという名を訳すと魔術師)は、ふたりに反対して、総督を信仰の道から遠ざけようとした。しかし、サウロ、別名でパウロは、聖霊に満たされ、彼をにらみつけて、言った。「ああ、あらゆる偽りとよこしまに満ちた者、悪魔の子、すべての正義の敵。おまえは、主のまっすぐな道を曲げることをやめないのか。見よ。主の御手が今、おまえの上にある。おまえは盲目になって、しばらくの間、日の光を見ることができなくなる」と言った。するとたちまち、かすみとやみが彼をおおったので、彼は手を引いてくれる人を捜し回った。この出来事を見た総督は、主の教えに驚嘆して信仰にはいった。
聖書 新改訳©1970,1978,2003新日本聖書刊行会
宣教の働きの第一歩は「聖霊に遣わされて(4節)」始まります。宣教・伝道は、人の思い付きや熱心さによって始められるものではありません。主の思いに従うことに意識を向けられたいと思います。
キプロス島での宣教は一貫して御霊の働きでした。
島全体を巡回し宣べ伝えながら、彼らはサラミスからパポスまで(直線距離にして100キロ以上)移動します。
神を愛し、人を愛することに向かわせる御霊に促されていたのです。それは妨げる者、魔術師バルイエスの存在によってますますはっきりするのです。この魔術師は自身の影響力を増すことばかりに関心を持ち、キプロスの地方総督におもねっていました。地方総督がみことばに耳を傾けるようになると、妬みから信仰の道を妨げようとします。
パウロは聖霊に満たされて
①神の側に立って厳かに魔術師に宣告しました。
②魔術師の肉的な思いに、肉によって答えませんでした。
パウロは自身の影響力が増すことになど興味はありませんでした。(パウロの名前の意味はいと小さき者)
③同時に魔術師にも憐れみをかけています。
「にらみつけ」とは原文では「じっと見つめ」ということであり、「しばらく日の光を見られなくなる」との宣告にも、これを語るパウロ自身が同じ経験をしたことを考慮すると彼の憐れみを感じることができます。
宣教・伝道にとって、どうしてもなければならないのは御霊の働きなのです。