2017年5月7日「主を知らせる戦いへの勇気」

聖書箇所:Ⅰ列王記 20章 1~15節
熊久保 公義 牧師

アラムの王ベン・ハダデは彼の全軍勢を集めた。彼には三十二人の王と、馬と戦車とがあった。彼はサマリヤに上って来て、これを包囲して攻め、町に使者たちを遣わし、イスラエルの王アハブに、言わせた。「ベン・ハダデはこう言われる。『あなたの銀と金は私のもの。あなたの妻たちや子どもたちの最も美しい者も私のものだ。』」 イスラエルの王は答えて言った。「王よ。仰せのとおりです。この私、および、私に属するものはすべてあなたのものです。」 使者たちは再び戻って来て言った。「ベン・ハダデはこう言われる。『私は先に、あなたに人を遣わし、あなたの銀と金、および、あなたの妻たちや子どもたちを私に与えよ、と言った。あすの今ごろ、私の家来たちを遣わす。彼らは、あなたの家とあなたの家来たちの家とを捜し、たとい、あなたが最も大事にしているものでも、彼らは手に入れて奪い取るだろう。』」
そこで、イスラエルの王は国のすべての長老たちを呼び寄せて言った。「あの男が、こんなにひどいことを要求しているのを知ってほしい。彼は人を遣わして、私の妻たちや子どもたち、および、私の銀や金を求めたが、私はそれを断りきれなかった。」すると長老たちや民はみな、彼に言った。「聞かないでください。承諾しないでください。」 そこで、彼はベン・ハダデの使者たちに言った。「王に言ってくれ。『初めに、あなたが、このしもべに言ってよこされたことはすべて、そのようにするが、このたびのことはできません。』」使者たちは帰って行って、このことを報告した。 するとベン・ハダデは、彼のところに人をやって言わせた。「サマリヤのちりが私に従うすべての民の手を満たすほどでもあったら、神々がこの私を幾重にも罰せられるように。」 そこでイスラエルの王は答えて言った。「彼にこう伝えてくれ。『武装しようとする者は、武装を解く者のように誇ってはならない。』」 ベン・ハダデは、このことばを聞いたとき、王たちと仮小屋で酒を飲んでいたが、家来たちに、「配置につけ」と命じたので、彼らは、この町に向かう配置についた。 ちょうどそのころ、ひとりの預言者がイスラエルの王アハブに近づいて言った。「はこう仰せられる。『あなたはこのおびただしい大軍をみな見たか。見よ。わたしは、きょう、これをあなたの手に引き渡す。あなたは、わたしこそであることを知ろう。』」 アハブが、「それはだれによってでしょうか」と尋ねると、その預言者は言った。「はこう仰せられる。『諸国の首長に属する若い者たちによって。』」アハブが、「だれが戦いをしかけるのでしょうか」と尋ねると、「あなただ」と答えた。彼が諸国の首長に属する若い者たちを調べてみると、二百三十二人いた。そのほか、民の全部、すなわちイスラエル人全部を調べたところ、七千人いた。

聖書 新改訳©1970,1978,2003新日本聖書刊行会

 
東にアッシリア帝国の脅威を感じていたアラムの国は、活路を見出すために南へ進出を目論んだ。小国は次々とアラムに吸収され、20章の時点でアラムには32人の王と呼ばれる者たちがいた(1節)。北イスラエル王国にもその力は及び、首都サマリアはいとも簡単に包囲される。
北イスラエルの王アハブはアラムを長とする同盟関係に入れとの要求をただ飲むしかなかった。高ぶるアラム側の要求はエスカレートし、金銀と妻、子どもたちを明日までに差し出せと迫る。アハブ王はこの要求については拒んだが、首都を包囲されている今、北イスラエル王国は万事休すの状態にあった。
主の預言者がここで登場する。アラム王の権威ある言葉を伝える使者の言葉「王はこういわれる」に重ねるようにして、預言者は「はこう仰せられる」とアハブに語る。おびただしいアラムの軍が目の前にいる中で、「これらの大軍を今日引き渡す。あなたはわたしこそであることを知ろう。」と主は言われたのだ。
を知ることが大切なことであり、この戦いはその目的のために勝利するというのである。事実、のみことばに従ったアハブ王は奇跡的に勝利を得た。
二つの声が私たちにも聞こえる。一つは私を恐れさせる神以外の言葉であり、もう一つはそのただなかで聞こえるまことの王である神のことばだ。主に聞き従うならば勝利と平安を得、それによって私も他者もこそ神であると知るようになる。